日本の安全保障上の危機的状況と対策

<日本の安全保障上の危機的状況-古森 義久 2021/11/03 06:00>

ハドソン研究所上級研究員のプリシュタップ氏は、現在の日本が直面する安保上の危機や脅威を「戦後の日本にとって前例のない国難」と評する。その根拠は以下の通りだと言う。

「今の北東アジアでは、中国の軍事近代化という名の下での攻勢的な軍拡がとどまるところを知らない。ごく最近の極超音速ミサイルの実験がその勢いを一段と高めた。とくに日本の周辺では、尖閣諸島における日本の主権に対して間断のない一方的な挑戦を続けている」

「尖閣周辺で中国の武装艦艇は2020年だけでも合計1181隻、通算282日にもわたり日本側の接続水域に侵入した。日本の領海への侵入は2019年と2020年と合わせて合計59回に達した。しかも2021年2月には、中国当局が尖閣海域などに出動する中国海警の艦艇に武器使用を許す新たな命令を出した」

「南シナ海でも中国は国際仲裁裁判所の裁定を無視して、他国の権益を侵し、規則に基づく国際秩序への挑戦を重ねている。その結果、米国が日本とともに推進する『自由で開かれたインド太平洋』構想を打破しようとしているのだ」

「北朝鮮はごく最近、次々と短距離、中距離の各種ミサイルの発射実験を続行した。とくに潜水艦発射ミサイル(SLBM)の新たな発射実験は明らかに日本領土への攻撃を想定している」

「中国人民解放軍はこの1年足らずの間に、爆撃機多数による台湾の防空識別圏への威嚇的な侵入を繰り返した。台湾の安全保障は、日本が自国にとっても重要と宣言する対象である」

<日本の安保政策の深化と拡大への米側の期待-古森 義久 2021/11/03 06:00>

「この現状において日本は防衛予算をGDP(国内総生産)の2%にまで増すことが不可欠となる。敵基地攻撃能力を保有し、敵の日本攻撃を防ぐ能力を日米同盟深化のなかに組み込むことも欠かせない。インテリジェンス、人工知能、宇宙、サイバーという分野での防衛力強化も不可欠となる」

「台湾情勢が日本の生存にも直結するという現実の下、台湾海峡の平時の対中抑止、戦時の対処も、日本の国家安全保障の重大課題となった。岸田新首相はこうした米国側の超党派の認識や期待を真剣に考慮しなければ、日米同盟への深刻な不安が生まれるだろう」

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危ない!日本の安全保障

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〇「敵基地攻撃能力」保有を、米国が日本に望む防衛政策強化 古森 義久 2021/11/03 06:00 ( JBpress )