2016年 安倍信三回顧録 要諦

4月14日発生の熊本地震から、政府は、被災した自治体の要請を待たずに、支援を開始する(プッシュ型)手法を採用。

日露領土交渉の入り口論:北方領土4島の日本帰属を確認してから平和条約を締結する。対露強硬派の主張

日露領土交渉の出口論:日露関係を改善することで、領土問題の着地点を探る。

ロシアの外交当局は基本的に中国と仲がいい。私が「中国は不良ですよ」と言っても、ロシアも不良だから、不良仲間は大切にするという感覚なのかなと思いました。

オバマ大統領は、日露交渉に反対だったが、トランプ大統領は、反対しなかった。私は、トランプ大統領とプーチン大統領との橋渡し役をした。プーチン大統領がクールで「トランプとは話せる中だと思う。でも安倍さん、私は米国に対して何の幻想も抱いていない」と言っていた。

円高や株安で低迷した経済を立て直すには、アベノミクス(異次元の金融緩和や機動的な財政出動)が必要だった。

G7伊勢志摩サミット:中国の南シナ海の軍事拠点化に注意を促した。経済面では、中国の知的財産の盗用、著作権の侵害を防がなければならないと訴えた。「中国との貿易が重要なのは分かるが、皆さん、片目をつぶるのはいい、しかし両目をつつぶるのはダメだ」と言ったが、当時、欧米は中国の台頭について敏感ではなかった。

オバマ大統領の広島訪問:真珠湾攻撃は軍同士の戦い、原爆投下は、民間人を対象にした(国際法違反の)大量無差別殺戮。

2017年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを、2019年10月まで2年半延期を表明。

自公で2/3の議席を得ても公明党の反対で憲法改正ができない。

菅氏が都知事選で増田氏を擁立。2012年の総裁選で小池氏が安倍さんを支持すると言っていたのに、石破茂氏を応援したことが許せなかった。小池百合子都知事が当選。

菅官房長官・麻生副総理兼財務相、二階幹事長の体制。

天皇陛下が退位を示唆。

米大統領選でトランプ氏当選。世界の首脳として初めてトランプ氏と会談。現職のオバマ政権に、トランプと会う予定だと伝えたところ、会食するのはやめてくれ、報道陣を入れて撮影させるのはダメだと、といろいろな注文を付けてきたので、その通りにした。かえってそれが、私とトランプとの間でじっくり話し合う時間を作ることになり、最初の会談が信頼関係を築くきっかけになった。

最初の会談の目的は3つ:①安全保障、②経済関係、③ゴルフの約束(P216)

トランプは、大統領選で公約したことをほとんど実現した。パリ協定から離脱、TPPから離脱、イランとの核合意の破棄、メキシコ国境に壁を建設。在イスラエル大使館をエルサレムに移転。

真珠湾訪問。

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<「安倍信三回顧録」(橋本五郎・尾山 宏・北村 滋著)より引用>